本記事のテーマ

・土、ココ、水耕栽培の比較
・それぞれの特徴
・選び方

大麻を育てるには土、ココ、水耕栽培とあるがどれを選べば良いんだろう?
それぞれ何が違うんだろう?

こういった悩みに出来るだけわかりやすい言葉で答えます。
自身はホームグロウを経て、アメリカの最先端大麻企業でプログロワーとして活動しています。

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結論

・それぞれの工法に長所と短所がある
・土栽培は初心者やナチュラルに育てたい場合におすすめ
・ココ栽培は土と水耕のハイブリッド型で室内栽培には効率が良い
・水耕栽培はスピード、収穫量に優れるがリスクが大きく細かい設定が必要

それでは見ていきましょう!

この記事は大麻栽培が合法な地域にお住まいの方、または移住しようとされている方へ向けた内容になります。お住まいの地域の法律を確認してください。

①各工法の比較

基本的に大麻は根が新鮮な水・酸素、適切な栄養素を吸収できれば成長できます。
そのために適切な培地、工法を選ぶ必要があり主な3種類が土栽培、ココ栽培、水耕栽培となります。

どのスタイルにも長所と短所があるため栽培環境や好み、目的を考慮して自分に適した方法を選びましょう。

ココ 水耕
難易度 初心者〜 中〜上級者 中〜上級者
成長スピード 普通 速い 最速
収穫量 普通 高い 高い
味、香り 良い(ナチュラル) 良い 賛否有り
運用費用 低〜中 中〜高
害虫リスク 少〜中

土栽培とは

土での栽培は最も自然でどこでも入手できるので初心者におすすめの方法です。
良質な土壌にはある程度栄養素が含まれているので給餌する肥料の量を少なくできます。そして土壌がクッション材となり自己調整もしてくれるのでのでpHにも寛容です。
リビングソイル(生きた土壌)では土の中で微生物が生態系を形成し、肥料を分解して根に届けてくれて最も自然な環境で成長することで風味の良いバッズが仕上がります。

一方で土栽培では肥料の吸収、根の発達がその他の工法よりも時間がかかるため成長スピードが遅くなり、収穫量が少なくなりやすいです。また、土壌には肥料の塩分が蓄積しやすく肥料焼けを防ぐためにも定期的に洗い流す必要があります。

良質な土壌の特徴

・排水、保水性が良い
・ふかふかで触り心地が良い
・pHが安定している
・栄養素が含まれている

良質な土壌で育てた大麻は余分な肥料を必要とせず、すくすくと健康に育ってくれるでしょう。
既製品の優れた土も沢山有りますが、よりこだわりたい方は独自でブレンドすることも可能です。

メリット

1.安価
2.最も簡単
3.良い土壌には微生物が存在する(有機的)
4.元から栄養素が含まれている
5.最も自然な工法で風味が良くなる
6.pHに寛容

1.安価

一般的に土での栽培は最も安く始められる工法です。

2.最も簡単

pHやECなどの数値をそこまで細かく調整する必要がなく、直感的に育てられるでしょう。

3.良い土壌には微生物が存在する(有機的)

微生物が栄養素を分解して根に届けてくれます。

4.元から栄養素が含まれている

良質な土壌には成長に必要な栄養素がある程度含まれているため、与える肥料の量は少なくて済みます。

5.最も自然な工法で風味が良くなる

自然のプロセスで育った作物はナチュラルな風味に仕上がります。

6.pHに寛容

土壌がクッション材となりある程度の範囲で自己調整してくれます。推奨pH6.0~7.0

デメリット

1.成長に最も時間がかかり収穫量も劣りやすい
2.害虫やカビが発生する可能性が高い
3.肥料が蓄積する
4.鉢上げが必要
5.手で水やりをする手間

1.成長に最も時間がかかり収穫量も劣りやすい

根が栄養素を吸収するまで時間がかかるため、ココや水耕栽培と比較すると収穫量が劣りやすいです。

2.害虫やカビが発生する可能性が高い

元から土壌に存在したり、水捌けが悪いとカビや虫が発生しやすくなります。

3.肥料が蓄積する

土壌には肥料の塩分が蓄積しやすいため定期的に洗い流しましょう。
肥料→水→肥料→水のように交互に給餌するのも効果的です。頻度や濃度はプラントの状態や環境によって調整してください。

4.鉢上げが必要

鉢上げをすることで効率良く根を張らせます。
鉢上げについてはこちら

5.手で水やりをする手間

株数が増えると自動散水システムを導入すると良いでしょう。

③ココ栽培とは

ココとはココナッツの殻を粉砕し、パーライトと混ぜて使用することで保水、排水性に優れた植物に理想的な培地となります。
土と水耕栽培の中間で、どちらの長所も備えていて面倒な管理、設定は必要なく、水耕栽培のような成長速度と収穫量を見込めます。
ココ自体には栄養素が含まれていないのでpH、EC (肥料濃度)、肥料の割合を完全にコントロールする必要があります。
水分、栄養素、酸素をバランスよく保持させることで根の発達、成長も早くなります。

一方でココは水耕のようにpH異常や肥料焼けなど問題が出やすいので細かく管理する必要があります。またカルシウム&マグネシウム不足になりやすいので必ず追加しましょう

個人的には商業向けの室内栽培に最も適した工法だと思います。

ココで育てるコツ

・30%程パーライトが含まれていて排水、保水性に優れた製品を選ぶ
・ある程度湿った状態を保つ(常にびちょびちょはNG)
・高頻度で給餌する
・カルマグを追加する
・適度にフラッシュを行う

パーライトと混合した良質なココは排水性に優れるので水のあげ過ぎになりづらく、根の周りに十分な酸素も保有できます。
ココで育てるときは培地を乾燥させないように高頻度で給餌することで成長率が良くなります。自動散水システムの導入を検討しましょう。

メリット

1.土と水耕栽培の中間
2.収穫量、成長速度が優れている
3.pH、EC (肥料濃度)を完全にコントロールできる
4.根が張りやすい
5.再利用できる

1.土と水耕栽培の中間

土のような保水性を備えつつ、水耕のように栄養素を完全にコントロールできます。

2.収穫量、成長速度が優れている

水耕栽培のように根が栄養素、酸素を吸収しやすいので発達が早くなり、高い収穫量を見込めます。

3.pH、EC (肥料濃度)を完全にコントロールできる

ココ自体には栄養が含まれていないので与える液肥でpH、EC、栄養素の割合を完全に制御できます。

4.根が張りやすい

ココは水分、栄養素を程よく保持して酸素も吸収しやすいので根張りが良くなります。基本乾燥させず軽く湿った状態で管理するのがコツです。

5.再利用できる

根を取り除きよく洗い流せば再利用が可能で環境にも優しい選択です。

デメリット

1.pH、EC (肥料濃度)を細かくコントロールする必要がある
2.肥料(塩分)が蓄積するので定期的なフラッシュが必要
3.カルマグ不足になりやすい
4.地域によって上質なココの入手が困難
5.手で水やりをする手間

1.pH、EC (肥料濃度)を細かくコントロールする必要がある

pHの異常や栄養素の過不足の影響をすぐに受けるため細かいコントロールが必要です。

2.肥料(塩分)が蓄積するので定期的なフラッシュが必要

土のように肥料の塩分が蓄積しやすいため定期的にpH調整した水や低濃度の液肥を与えて洗い流しましょう。

3.カルマグ不足になりやすい

ココ栽培ではカルシウム&マグネシウム不足になりやすいので、CalMagサプリを追加しましょう。

4.地域によって上質なココの入手が困難

一部の地域や国では良質なココが出回っていないこともあります。

5.手で水やりをする手間

土と同様に手やりの場合はかなりの手間がかかります。

④水耕栽培とは

水耕栽培とは水の中に根を張る工法で、根に直接栄養素を届けられるので成長スピードが早く収穫量も見込めます。
土壌由来の細菌や害虫の心配も必要なく、一度しっかり設定が出来ればメンテナンス頻度が少なくて済みます。

その分、pHや肥料トラブルが出たら早急に対処しなければ被害がすぐに広がってしまいます。また機材トラブルや停電などが起きた場合のリスクも大きいので注意が必要です。

水耕栽培システムの種類

水耕栽培の中にも様々な種類があり、それぞれに長所と短所があるので自身にあった工法を選びましょう。

・DWC(Deep Water Culture) 

直訳すると深層水培養システムで、プラントを酸素を含んだ溶液の上に設置して栄養素を吸収させます。最も一般的な家庭向け水耕栽培システム。

・Ebb and Flow (干潮システム)

潮の満ち引きのように溶液が満たされて、排水されるようにタイマーで管理します。メンテナンスは容易ですが機材トラブルのリスクが大きい。

・点滴灌水システム

ロックウールなどの培地に溶液をゆっくりと供給することで、素早く成長させます。チューブなどのメンテナンスは必要ですが大規模栽培には効率的な工法です。

・エアロポニックス

最先端の工法で、根にミスト状の溶液を供給することで素早く吸収することができ、収量の最大化を目指せます。初期コストとこまめなメンテナンスが必要です。

・アクアポニックス

魚と一緒に育てることで魚の排泄物を微生物が分解して根に供給して、自然のサイクルを模倣します。有機的な水耕栽培と言われています。

メリット

1.最も成長が早く、収穫量も多くなりやすい
2.害虫が発生しづらい
3.細かいコントロールができる
4.廃棄物が少ない

1.最も成長が早く、収穫量も多くなりやすい

根が直接栄養素を吸収できるので、素早く成長しバッズの成形にエネルギーを集中できます。

2.害虫が発生しづらい

土など培地由来の虫や細菌の心配はありません。

3.細かいコントロールができる

与える肥料や濃度、水温、水分量など全てをコントロールして管理できます。

4.廃棄物が少ない

培地を捨てる必要がないので、都市部などでの栽培に有効です。

デメリット

1.設備やセットアップに費用、手間がかかる
2.EC,pHの細かい管理が必要
3.機材トラブルのリスクがある
4.細めな清掃が必要
5.有機栽培が難しい

1.設備やセットアップに費用、手間がかかる

単純なシステムもありますが基本的には自分で構築する必要があります。
高価な設備もあるためしっかりリサーチ、検討しましょう。

2.EC,pHの細かい管理が必要

細かく管理して対処しなければ異常が発生するとすぐに拡がってしまいます。

3.機材トラブルのリスクがある

停電や機材トラブルが起きたら水浸しになったり、全て枯れてしまう恐れがあります。

4.細めな清掃が必要

タンクなども常に清潔にしておかないと藻やカビが発生する原因になります。

5.有機栽培が難しい

基本的に微生物が存在しないため、有機肥料の分解が難しいです。
(研究が続けられていて一部、水耕栽培でもオーガニックで育てる方法もあります。)

⑤よくある質問

土、ココ、水耕はどれが優れている?

好みと目的によって変わります。初心者やよりナチュラルに育てたい場合は土。細かく制御してスピード、収量を求める場合は水耕またはココ。

水耕栽培の方が質が良くなりますか?

最終的な仕上がりは遺伝子、栄養素、生育環境によって変わるため工法のみには左右されないです。

水耕栽培だと虫が出ませんか?

土壌由来(土中に卵を産まれているなど)の害虫リスクはないですが、換気が悪かったり清潔でないとどんな工法でも虫が発生する可能性が有ります。

水耕栽培から土やココに移せますか?

可能です。しかし適切に対処しなければ大きくストレスを与えてしまいます。

⑥個人的な意見

どの培地が良いかはグロウする環境や目的によって変わってきますが、一通りの方法を経験した自分がもしグロウを始めるとしたら、最初は土からスタートすると思います
理由は最も基本的なところを経験することができて、将来的に屋外栽培や他の工法に挑戦する時にも応用できるからです。ゆくゆく土からココへ移行することも容易です。

収穫量やスピードは水耕やココの方が優位ですが、少ない株数ならそこまで大きく変わらないので基礎から学んでいくことをおすすめします。実際に僕も土栽培からスタートしました。

そして商業的にグロウするならココが最もやりやすいと感じています。
理由は自動散水システムにすれば手間もかからず、水耕栽培で起きうる機材リスクも無くメンテナンス性にも優れているからです。
ココが手に入りづらかったり、ゴミ処理が大変な都市部などでは水耕栽培が有効です。

結論

・それぞれの工法に長所と短所があります

・土栽培は初心者やナチュラルに育てたい場合におすすめ

微生物が肥料を分解して根に届けてくれ、自然なサイクルで成長し直感的に育てられるので初心者にもおすすめ。

・ココ栽培は土と水耕のハイブリッド型で室内栽培には効率が良い

水分、栄養素、酸素を効率良く吸収でき、給餌を完全にコントロールできます。カルマグを添加しましょう。

・水耕栽培はスピード、収穫量に優れるがリスクが大きく細かい設定が必要

根が直接栄養素を吸収できるので、最も成長が速いです。リスク管理を徹底しましょう。